2018 4/3 UP
『あなたの人生に新たな香りを』② ~お香の歴史~
ここでは、大まかなお香の歴史についてご紹介いたします。
【Ⅰ】お香のはじまり
お香がいつからあるのか正確には分かっていませんが、
人間の文明が出来た紀元前3000年頃にはお香という概念が成立していたようです。
はるか昔には、人類は祈りを捧げる時に生贄を捧げていました。
しかし生贄は血の匂いが凄まじいため、その匂い消しの意味と供物の意味として、お香を使っていました。
神秘的な儀式や死者を祀る行為を通して、お香は欠かせない存在となっていきました。
【Ⅱ】仏教でのお香
仏教の経典を見てみると、『長阿含経』には「説法を聞くときには、お焼香をしなさい。」
また『 増一阿含経』には「お釈迦様が瞑想の際にお香を使われた。」等とありますが、
実際にどのような形状のお香を使っていたのかまでは分かりません。
しかし 仏教のそういった記述を辿っていくと、「焚く」よりも「塗る」と記されたものの方が古いようです。
大昔には、「お香の粉末を仏像に塗りこむことによって、香りで繋がりを作っていた」という話もあります。
そうしてインドの僧侶が清めの為に使用していた『塗香』 が、仏教では最も歴史が古い可能性が高いです。
【Ⅲ】日本におけるお香
538年(一説には552年)の仏教伝来とともに、お香は日本へ伝わりました。
日本で最も古いお香の記述が、『日本書紀』(595年)にあります。
ある日、淡路島の海岸に、2メートルほどの流木が流れ着き、村人がその流木で焚火をしたところ、
島中にとてもよい香りが広がった。
驚いてすぐ焚火をやめてこの流木を朝廷に献上すると、仏教最高の香木である沈香(じんこう) だった。
というお話です。
このようなストーリーがあって、淡路島はお香の生産地として栄えていったそうです。
日本に最初に伝わってきたお香は沈香ですが、753年の鑑真の来日によって、
麝香(じゃこう)・甘松香(かんしょうこう)・安息香(あんそくこう)・甲香(こうこう)等の他の生薬とともに、
調合術(合香の術)も伝わりました。そして時代の変遷とともに、お香も変化していきました。
元々、お香の調合術はインドから中国へ渡り、中国で爆発的に発展しました。
その技術が日本にも伝わり、日本独自の「和の香りの文化」として発展しました。
日本人にはあまり知られていないようですが、中国では文化革命によりそれらの技術が失われてしまったため、
現在お香の技術が最も栄えているのは、この日本です。
さらに現代では日本人の暮らしにあった新しい香りの開発なども進み、お香は新しい歴史を刻もうとしています。
▽『あなたの人生に新たな香りを』③へ続く