2020 9/7 UP
【睦真部会主催 研修企画「僧侶としてコロナ禍の悩み・苦しみに向き合い、寄り添う」】
先の7月30日、睦真部会で「僧侶としてコロナ禍の悩み・苦しみに向き合い、寄り添う」とテーマを設け、オンラインでの研修会を行いました。
当初、企画段階では、コロナ禍で閉塞感に苛まれる中、会員の皆さんを元気づけたい!という思いのもと、エンタメ企画で進めておりました。しかし、部員より「こんな時だからこそ、僧侶としてできること、大事なことを学びたい」という、貴重な意見を頂戴し部員と話し合った結果、コロナ問題に向き合う研修会にしようということに決定いたしました。
講師は布教使、臨床宗教師の花岡尚樹先生です。先生は、あそかビハーラ病院でビハーラ僧として勤務されており、病気による悩み・精神的な悩み・肉体的な悩みなど、私たち人間の抱える根本的な苦しみに向き合っておられます。あそかビハーラ病院では年間150名の方がお亡くなりになっていかれるそうです。
研修会を企画するうえで、先生に何を聞きたいのか、どういう研修にしたいのか、ということについて事前に会議を重ね、先生に研修会の方向性をご相談させていだきました。研修会では、上記の人間の抱える根本的な悩み、苦しみについて僧侶・臨床宗教師の立場より分かりやすく教えてくださいました。また、コロナに起因する社会問題や、悩みについても親身になってお話をしてくださいました。
講演の中で印象的だったのは、身近な方の苦悩や悲しみに対してすぐに答えを探し、答えようとしてしまうことを「問題解決型思考」と呼ぶそうですが、そればかりが正解ではないということでした。苦悩や悩みを抱えている方と同じ方向を向き、ともに悩んでいくとことの大切さを花岡先生は、金子大榮先生の「悲しみは悲しみを知る悲しみに救われ、涙は涙にそそがれる涙にたすけられる」という言葉を用いて教えてくださいました。
悲しんでいる人がいたら喜んでもらわなければならない、涙している人がいたら笑顔になってもらわなければならない、と考えがちな私たちでありますが、生きていくうえでは解決できない問題や環境の方が圧倒的に多いのです。であれば、我々僧侶は答えを出すのではなく、悲しみを悲しみのまま受け入れ、深く沿っていくことが大事だと先生は仰っていました。
コロナの影響で、今まで当たり前と思っていた日常が大きく変わり、その中で私たち僧侶の在り方もいま問われている気がいたします。この度の研修を通して今一度、自分を見つめなおすことの大切さを教えていただきました。
睦真部会 部長 廣幡俊道